クモヤ93
走行しながら架線の状態(高さ、偏位、パンタグラフとの接触状況等)を測定する事業用車で、1両のみが豊川分工場において改造製作された。改造当初はモヤ4700形(4700)と称したが、1959年(昭和34年)6月の車両形式称号規程改正により、クモヤ93形(93000)に改番された。落成後は、田町電車区に配置されたが、1980年(昭和55年)3月26日付で廃車された。1959年(昭和34年)12月4日に東海道本線金谷 - 藤枝間の上り線で165km/hをマークし、1960年(昭和35年)2月10日には東北本線岡本 - 宇都宮間の上り線で167km/hまで更新していた。これと併行して島田 - 藤枝間に試作PCまくらぎやコンパウンドカテナリなど新幹線実現の際のモデルとなる設計を取入れた第3線新設工事が同年9月に完成した。この第3線を使用して11月13日から22日にかけて151系「こだま形電車」と本車による高速度試験が10日間にわたって行われた。本車には新幹線用試作パンタグラフが搭載され、11月21日に金谷から出発して加速、最高速度となる藤枝方に設けた約1.3kmの試験区間(現在の六合駅付近)で当時の狭軌鉄道の世界最高速度記録である175km/hを達成した。本車の車体側面には、それを記念したチャンピオンプレートが取り付けられていた。

クモヤ93000
クモヤ93000


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